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改正派遣法にこれだけの疑問

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10月1日から改正派遣法が施行されました。今回の改正点のポイントは、①事業規制の強化(日雇派遣の原則禁止、派遣会社がグループ企業に派遣する場合、8割以下に規制、派遣先は自社を離職した労働者を1年以内に派遣労働者としての受け入れ原則禁止)②派遣労働者の無期雇用化、待遇の改善(一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化、派遣料金と賃金差額のいわるるマージン比率の公開)③違法派遣に対する迅速・的確な対処(派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす)などです(この部分は、3年後の施行です)。


 1986年の派遣法施行以来の初の規制強化となる改正で、10月2日付の日経新聞によると派遣社員をゼロにしたり、外部委託や直接雇用への切り替えを進め、派遣離れが進んでいるようです。

 偽装請負の発覚、2008年10月のリーマンショック以来、社会現象とも言えるいわゆる「派遣切り」「派遣村」という事態が進行、「派遣」=悪のような、2分論的な考え方が生じました。そして、いわば一昔前とも言える4年前当時の状況を反映し、今回の改正派遣法施行となったわけです。

 しかし、今回の派遣法改正の中身を見たとき、「??」と首をかしげざるを得ない内容が多いです。たとえば、「日雇い派遣原則禁止」の例外、つまり日雇い派遣が認められる例外として、世帯年収500万円以上の主婦があげられています。しかし、これは全く逆の発想ではないでしょうか。日雇い派遣という働き方を使ってでもお金を稼ぎたいという人は、むしろ世帯年収が低く、夫の収入だけでは生活がやっていけないからであって、年収が500万円以上もあれば、むしろ日雇い派遣という働き方を選択してお金を稼がなくてよいはずです。

 また、マージン比率の公開は、あたかも商品が物の場合、商品を仕入れる際に、仕入れ先企業にあらかじめ売値(粗利)を教えるということに近い内容です。しかし、商品を仕入れる際には契約自由の原則が働き、仕入れ企業(買い主)、仕入れ先企業(売り主)ともに、自由に価格を決めることができます。価格が売り主にとって安ければ、契約をしなければ良いだけです。

 もちろん労働者は、常に使用者に比べて弱い立場にあると考えられていますので、この契約自由の原則が修正され、労働基準法等労働法制で保護されることになります。たとえば、賃金については、時間外、休日の割増率が法定されており、また最低賃金法に基づき、賃金の最低額も規制されています。つまり、そもそ派遣労働者に限らず労働者は、そもそも保護されているのですね。

 労働者を使用して企業が利益を得る。これは、マルクスが「賃労働と資本」という著作で示してからの厳然たる事実です。しかし、その「利益」をどれだけ得ているのかを、労働者に示す義務を課した法律はありません。つまり派遣労働者以外の一般労働者でも、実はそこの会社がどれだけ労働者を働かせて「利益」を得ているかということは公開していないのに、なぜ「派遣会社」にのみその公開を求めるのでしょうか。

 派遣会社も私企業であり、利益を得なければ存続していくことができないのは、派遣会社以外の会社と同じです。それを「マージン比率の公開」という形で、今回派遣会社にその義務を負わせたのは、過度な義務の負担のように思います。むしろ公開は、派遣会社と派遣労働者との無用な確執を生むだけではないでしょうか?これを「派遣社員への朗報」とし、「自らの実入りを増やす機会が広がる」(同日付日経)とする日経新聞の見解にも疑問があります。

 もうすでに法律は改正され、施行された後ですが、皆さんはいかがお考えでしょうか。

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