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値引き要請に「よそでやってください」と言うことができますか?

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 少し前の新聞記事になりますが、10月3日付けのフジサンケイビジネスアイ第10面、法政大学大学院教授の坂本光司氏の「知恵の経営」に、ビジネス、商売の王道を勉強しました。


 この記事によると、大阪市にある、ばね製造・販売会社T社の社長は、坂本氏の「単価はどのようにして決めているのか」という質問に「言い値です」と答え、「では、高いと言われ、値引きを要請されたら、どうしますか」と質問すると、「それならば、よそでやってくださいと瞬時に断ります」言い切ったようです。

 現在、ばね製造をする企業は、全国に約3,000社有り、約75%は赤字(同紙)。その中で、T社は下請け型会社から脱却し、「従業員の技術力を高め、スーパーニッチな市場にターゲット」を絞り、「高度技術、数量は微量かつ短期対応」型企業に経営スタイルを創り上げたようです。

 これを読んでため息が出ると同時に、経営者、社長たるものもこうでなくてはと、身につまされました。

 どこの業界でも、デフレ不況、インターネットの出現、新興国の台頭などにより、価格破壊とも言える状況が出現しています。消費者目線では、これは歓迎すべきことかもしれませんが、企業経営を行う側からすると、厳しい経営環境にあると言えます。この記事にあるように、どこの業界でも値引きの要請があることもあります。ですが、この社長のように「それならば、よそでやってください」と言う勇気を持つ「経営者」「社長」は皆無ではないでしょうか。

 たとえば私角野が属する「行政書士」業界は、マイケル・E・ポーター(写真「競争の戦略」)の定義する多数乱戦業界の典型業界だと思います。行政書士サービスは、他のどこの事務所も似たようなサービスで、差別化しくにいのが普通です。ですから、「価格」で勝負するしかない、ということが起きてしまうのですね。どの企業もめぼしいマーケット・シェアがとれず、業界の販売量を大きく左右できず、業界を牛耳るマーケット・リーダーがいない業界です。
 
 
 しかし、ポーターは、こういう多数乱戦業界では、シェアは慎ましくとも、その業界の最も業績の良い企業に名を連ねることで、差別化できると述べています。つまり、ある企業の提供するサービスが、他のどこの企業とも似たようなサービスで、差別化しく場合、本来のサービスに加えた付加価値サービスを行うことが差別化につながる、とポーターは述べています。「価格」ではない、「サービス」の差です。「価格」ではない「お得」感をお客様にもたらすことです。

 この記事を読んで改めて思ったのは、会社の業績を良くするのも、悪くするのも、当然ですがやはり結局「経営者」「社長」なんですね。「それならば、よそでやってください」と平然と言えるようになりたいものですね。

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