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コロナウィルスの感染拡大に思う(3)

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 緊急事態宣言は全国的に解除され、少しずつ日常が戻りつつあります。

ただ、100%今回の事態以前に戻ったわけではなく、今後もこのこのコロナウィルスとの付き合いが続きます。当法人でも玄関にはお客様用に手指消毒のアルコール、接客ルームには、透明のアクリル板を設置し、対面での接客時に既に使用、また朝は次亜塩素酸でドアノブ、テーブル、デスク、電話機などを消毒する日々が続いております。
 
 さて、感染症などの視点から世界史を研究したウィリアム・H・マクニールの「マクニール世界史講義」(ちくま学芸文庫)をたまたま昨年買って、読んでいなかったのですが、自粛期間中にざっと読みました。やはり、勉強になる内容が書いてありました。

 マクニール氏は、「ミクロ寄生」「マクロ寄生」という考え方から歴史を見ることを提案されており、特に「ミクロ寄生」とは「食料を求めて人間と競い合う微生物の代謝活動」(P118)のことで、「微生物は、私たちが食べるものの組織に入り込む場合があります。先に入り込みことによって、その食べ物からエネルギーを得ようとする人間を出し抜くことができます。」(P118)と述べられています。

 そして氏は、「微生物は、私たちの体内に入り込んで細胞を食べることもあります。何の問題もない場合もありますが、病気や死に至ることが多いです。」とし、「要するにミクロ寄生は、残酷な影響を及ぼし続け、個人や集団が生き延びる取り組みを年がら年中侵食しているのです。」と述べています。

 このような「ミクロ寄生」などの伝染病や飢饉、戦争などを原因とした文明社会の「破綻」こそが「歴史の記録」そのものだと、氏は言います(P204)。ただ、「人間が、私たちを取り巻く世界からエネルギーを獲得し、欠乏を満たし意図を実現し、成功を収めてきたこと、そのたびに破綻の危険が迫るなかで、どれほどのことを成し遂げてきたかを称えるべきです。」(P224)と結論づけています。

 今回の新型コロナウィルス感染拡大が「破綻」の原因となり得る大きな事態であるとしても、これまでの人間が「破綻」を克服してきたのと同じように、氏の言う「知性と創意工夫の才」(P224)によってきっと克服していくものと信じたいですね。

(6月2日追記)次亜塩素酸が、コロナウィルスの感染防止に役立つか、まだはっきりわかっていないようですね。ハイターなどを薄めてドアノブなどをふいていたのですが、手荒れもしますし、ニオイも気になるので、本日から次亜塩素酸の消毒は止めました。

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